当社では、会社の活動が環境へもたらす影響を把握するため、年間の電気・ガス・ガソリンなどのエネルギーの使用量や、廃棄物の排出量などを算出しておりますが、平成22年に八十二銀行による「環境格付」(一定以上の評価を取得し、3年以内にCO2排出を6%削減することを誓約することで金利優遇を受けることができる融資制度)によりAランクの評価をいただいて以来、毎年「CO2排出量」を算出し、環境負荷の目安の一つとしています。
省エネ等の活動により、平成20年度を基準値として最大で13%程度の削減を達成できましたが、その後の受注量の増加やUV印刷機の増設・製本工程の内製化などの業務拡張により排出量は増加に転じて来ています。
環境に配慮しつつ業務を拡大する中で電力の購入先を再検討し、平成29年8月に本社工場と東京支社の高圧電力の購入先を変更しました。購入先の決定は、電気料金削減のメリットが一番大きなものでしたが、合せて再生可能エネルギーの比率が高く、よりCO2排出係数(実排出係数)の低い電気事業者を選択しました。
CO2排出量の計算は、使用した電力の使用量に、各電気事業者が毎年発表する「排出係数」を乗じて行います。より排出係数の低い電力会社を選択することにより、電力使用量が増えても「CO2排出量」を減らすことが出来ます。電気使用によるCO2排出量は、当社のCO2排出量全体の8割以上を占めていますので、数値上は大きな効果をもたらしました。
しかし、電気事業者が発表するCO2排出係数には、「実排出係数(基礎排出係数)」と「調整後排出係数」の2種類があります。「実排出係数(基礎排出係数)」は、電気事業者が電気を発電するために排出したCO2の量(実排出量)に基づくもので、当社がCO2排出量を計算する際にはこちらを使用しています。一方で、設備改善によるCO2排出の削減量や、植林などによるCO2の吸収量は「J-クレジット」などの制度により売却することができ、排出量が多い事業者がこのクレジットを購入することで自身の「排出量」を減らすことが出来ます。こうして排出量の売買によって調整された後の係数が「調整後排出係数」です。この係数は年によって大きく変動します。
私たちは、「実排出係数(基礎排出係数)」が低い電気を安い価格で購入できていますが、それは電気事業者がクレジットを売っているから・・と言えなくもありません。「負担」をよりグローバルな視点で考えたとき、果たしてそれが「エコ」なのか?という疑問も生じます。答えは簡単ではありません。
・・・
今回、当社では、まだ電気事業者を変更してなかった本社の「本館」「管理・厚生棟」=工場以外の間接部門に使用している従量電灯の契約をリコージャパン株式会社が販売する「リコーCO2フリープラン」に変更することにしました。このプランは、クレジットの購入等によりCO2の排出係数(調整後排出係数)を「0(ゼロ)」にするもので、そのためのコストの一部を電気料金として当社も負担することになります。「従量電灯」での利用は当社が初(1件目)だそうです。本日(9月17日)から切替になっています。
当社の「CO2排出量」を計算する際には「実排出係数(基礎排出係数)」を用いていますので、これにより本社間接部門のCO2排出量を「0(ゼロ)」として算入できる訳ではありませんが、企業活動が環境的側面のみならず、社会的側面や経済的な側面も考慮する必要があるのと同じように、環境への影響を考えるときに、1つの側面からだけでは無く、様々な側面から見ることが必要だと考えます。
私たちは、これからも継続的な改善・見直しを行っていきたいと思います。